ネパールNGOスタッフ学校設立に向けて

2010年4月24日土曜日

タンセンにて

カトマンズにあるバラジュー庭園に植える蓮の地下茎を採取するため、今回はタンセンに訪れたらしい。日本なら造園業者に依頼すればすむことだが、こちらではそれではうまくいかないらしい。何のためにこんな仕事をしているのかは、まだネパールに来たばかりの僕にはよく分かっていないのだが、とりあえず従っておくことにする。理事長はカトマンズ市のディベロプメント・ファシリテーターも兼任しているので、その関連の仕事らしい。朝のチャーを戴いた後、理事長とGさんと私の3人で散歩に出かける。タンセンはなかなかきれいな町だった。信心深いネパール人達は朝から早速寺院へ礼拝に訪れていた。我々もお賽銭?をはらって、額にティカを付けてもらった。

有力者の家に戻ると早速仕事の段取りをきめ、蓮の自生している池に向かう。市の職員は今回、理事長の仕事を手伝いするために休暇を取って同行したという話だが、全然仕事しね~。仕方がないので、現地の農家らしき人も雇って、何とか当初の目的であった100本の地下茎を確保する。すると職員どもは大して仕事をしていた訳でもないのに仕事が終わったと親戚の家に遊びに行く。カトマンズへの帰る途中のホテルでは売春婦をホテルに呼んで騒ぐ乱れっぷりだ。むろん我々は参加していない。

ネパールでは割り勘などはあまりなく、一番偉い人が飲食費等を払う場合が多いらしい。どう見てもタダで飲み食いするためたかりに来たといった感じだ。ここに来るまでの車の中でも、やたら下ネタの話が多く、市の給与では到底住めない家に住み、何人か女を囲っているらしいことも理事長から聞いた。はっきり言って非常に感じが悪かった。ネパールはカースト制度が根強く残るコネ社会で、上級カーストの人間はコネで市の職員にも入ってくる。まだこちらに来たばかりなので、詳しいことは分からないのだが、こういう人間達ともつきあっていかなければネパールをより良く変えていくことはできないらしい。うちのNGOでは経費は寄付金の20%と決まっているので、こんな飲食費は経費で落ちない。すべて理事長の自腹だ。僕は目の前が暗くなってくる気がした。

タンセンの町であった人達は純朴で好感が持てた。外国人はそれほど多くないらしく、通学途中の子供がつたない英語で話しかけてきたりした。定食屋ではお母さんと子供達が、一生懸命仕事をしていた。子ヤギや鶏が放し飼いにされており、のどかで美しい風景が郷愁を感じさせた。僕はこういう人達の力になってあげたいのだ。だが、それは理事長も同じだろう。この日は暗い気分のまま眠りについた。