ネパールNGOスタッフ学校設立に向けて

2010年5月23日日曜日

ネパールの経済を発展させる施策1

ネパールの経済を発展させることは、結構かなり難しい。
内陸国にあるため、空輸以外で自由に貿易が出来ない(インド経由の陸上輸送は時間がかかり、不確実。その上国境を封鎖されると経済が麻痺するので何も言えなくなる)。現在はインドに対する反発から、中国に親近感を持つ人達も多いが、中国の影響が強くなると、今度は中国からの内政干渉が増え、反中国思想が広まるであろう。
カースト制度や男尊女卑、少数民族間のしこりも多い。(カトマンズのような都市部では少しづつ薄れつつある)

おまけに、電力不足や交通渋滞、水不足にゴミ問題と来た。・・・いや、一番の問題は無能な政治家・官僚とはびこる汚職であろう。

誤解のないように言っておくが、一般のネパール人はそんなに感じの悪い人達ではない。僕の働いているNGOのオフィスやホテルの従業員は素朴で、楽天的で、好感の持てる人達が多い。

本来、僕のようなネパールに来て一ヶ月の人間が口にするべき問題ではないのだろうが、一応政治経済を専門に勉強し、ネパールの経済発展が如何にあるべきかを真剣に考えている人間として、この国のあるべき政策を論じたい。

ネパールでの現在の主要外貨獲得手段は、観光と農産物の加工品そして出稼ぎ労働者の仕送りである。
そこで、産業を発展させるための施策として僕は低予算で可能ないくつかの政策をあげたい。

一つ目は、高度なコンテナ輸送網を構築し、インドのカルカッタまでは船舶による海上輸送、そこからパトナ等ネパール国境都市までは鉄道で、そこから先はマヘンドラハイウェイ等を使ったトラックコンテナ輸送網を構築することで、高速コンテナ輸送を可能とすること。インドの物流網自体が限界に達している今ならば、低予算での再構築提案は受け入れられる可能性は高い。既存の鉄道や道路を日本の優れた物流システム管理すれば現在とは比較にならないスピード・低価格・安全性で、コーヒーなどの商品作物の輸出、そして、産業用機械の輸入を世界中の国々と行う事が可能となる。北東部の山岳部への道路・鉄道建設は困難だが、南東部を中心に工業化を進めることが出来る。それと並行して、光ファイバーによる高速通信インフラを整備すればネパールの経済発展性は飛躍的に高まる。農業技術や機械化も遅れているが、有機栽培作や自然農法導入でインド等の高所得者層にオーガニック製品として販売することも出来る。

二つ目は慢性的な電力不足を解消すること。それには盗電と電力会社職員の汚職を解消することから始めなければならない。ネパールの実態を示す詳細なデータは入手できなかったが、インドや東南アジアでの盗電、汚職の実態は社会的にも認知確認されている。そしていくつかの地域ではそれらの問題は克服され、その為の方法論も確立しつつある。詳しくは以下のサイトを参考にして欲しい。
http://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/archives/jbic/report/review/pdf/1-4.pdf

大規模な水力発電所等が欲しいところではあるが、雨季と乾期が存在するネパールで年間を通じ安定した電力を供給することは容易ではない。多数存在する決壊寸前の氷河湖を何とか利用できないかと考えたこともあるが、僕の手に負える問題ではない。各家庭での省電力化と今後の研究が必要となるであろう。

三つ目は観光業の活性化である。まず、現在町にあふれているゴミ問題の解消すること。
次に上記のような経済援助と交換条件に、バンダを禁止、もしくは発生した経済的損害をすべて首謀者に弁済させること。
そして、交通標識や地名、地図、店のメニューを英語(と写真)で表記し、病気やトラブルのときは自国語で応対してくれる多言語対応トラブル・サービス電話窓口の設置である。日本の街は英語さえわかれば、とりあえず、地図、地名等、ローマ字で書かれた案内が多数存在するため、それほど困らない。
ネパールではそうは行かない。有料でもかまわない。観光都市を目指すのであれば、チョウメンが食べたいのであれば携帯で電話をかけるだけで、道案内から注文まで対応してくれる。チトワンに行きたいのであれば旅行会社の一覧とサービス内容にその評価が検索できる。その程度のサービスは準備してもらいたい。
ヒマラヤの山々は世界に誇れる自然遺産であるし、チトワン等、他国では見られない動植物も多い。そんで持って、ネパール人は美少年・美少女の率が極めて高い。残念なことに年をとるにしたがって、美女美男の比率は下がっていく。過酷な生活と紫外線、そして栄養過剰等が彼らの体型を損なっていくのだろう。
少し話がそれてしまったが、ネパールは豊かな自然と好感が持てる人達の多いすばらしい国なれる可能性を持っている。僕は、ネパールにはアジアのスイスのような国になって欲しいのだ。

そのために必要なのが教育、投資、そして技術援助だ。
僕が必要と思っている教育は、以前にも書いたように高等教育ではなく、人間性を重視した幼児教育だ。
そして、投資と技術援助については、単に利潤や会社の利益を求めたものでなく、共生を理想としたものであって欲しいと思っている。
僕はこの国の子供たちに、僕の持つ知識や技術のすべてを伝えてあげたいと思っている。利潤の追求ではなく、心の絆と人間観関係を大切にした社会を構築し、豊かな自然の中で人生を終えたいのだ。
日本そして欧米諸国は、かつて中国を筆頭とするアジア諸国に投資と技術援助を行うに当たって、決定的な間違いを起こしたと僕は思っている。この問題については話が長くなりすぎるので、世界経済のグローバル化についての話は後日に回します。