ネパールNGOスタッフ学校設立に向けて

2010年6月5日土曜日

世界経済グローバリゼーションの危機2

先日世界経済グローバリゼーションの危機1で書いたように、欧米の経済は危機的状況に陥り、日本の経済も深刻な打撃を受けるであろうと僕は予測している。
しかし、通貨のデフォルトがすべての人の生活を絶望的な状況に追い込むわけではない。

将来の危険性を予測して、適切な対策をたてておけば別に大騒ぎをするほどのことでもない。預金の一部を金やプラチナなどの貴金属に換金しておくのも良いし、食糧難に備え農家に転職するのも良い。ネパールでも有機農業を広めるためにがんばっている日本人がいる。莫大な借金を抱えて大規模農業をやっている人など、逆に大もうけをする可能性もある。

要はきちんとした情報に基づいた危機対策をきちんとたてておけば良いというだけの事だ。国家レベルできちんとした対策をたてておいてくれれば、国民は安心して生活できるのだろうが、今の政府にそれを期待するのは楽観主義を通り越し、脳天気と呼ぶべきだろう。

現在中国が為替操作国として、世界の非難を浴びている。私もボランティアで無収入状態になることから人民元の購入を資産運用として検討したことがある。しかし、中国政府がドルを買支え実質米ドルペッグ制となっていること。また、中国国内の銀行で本人がパスポートを提示しないと口座を開けないことや、一日毎・一年毎の両替金額上限を決め、その金額を超える場合は申請と認可が無いと出来ないことから為替レートの変動がしにくい。おまけに人民元のFXでは売買両方にマイナススワップが発生するため長期保有に向かない。

アメリカ財務省は議会から、中国が「為替操作国」であるかどうか判定するよう命じられているというが、明らかな為替に対する国家の過剰干渉だろう。このままでは中国は世界から孤立する可能性も高い。おまけに、国内の貧富の差や民族問題から長期的には国家分裂の危険性も秘めている。

貧富の差や民族問題を秘めているのはインドも同様である。現在は両国ともに経済が発展状態にあり、国民は自らの生活を向上させることに関心の大部分を向けている。しかし、その経済成長が停滞し、低所得者階級の不満が政府へと向かった時にどういう問題が発生するのか僕には予測がつかない。

第二次世界大戦終戦から現在に至るまでの時代、特に先進国では最も平和で物が豊かだった時代なのかもしれない。しかし、これからは混迷の時代が到来しそうに思える。今のところ引き金になりそうなのはPIIGSの通貨危機あたりだろうか?保護主義とブロック経済が広がり、中国がアメリカに代わって台頭しそうに思える。
資源や食料の輸出入をめぐる各国の対立も深刻化しそうに思える。

災害エスノグラフィー同様に通貨危機に対する対処法も事前にまとめておくことで、そこから派生する被害を最小限に抑えることが出来ないであろうか。

食料自給率が41%とはいえ、家畜に食べさせる穀物を食料にすればなんとか食料は自給できるし、食糧を配給制にすれば、就業中の人も仕事に専念できるだろう。失業率は激増するであろうが、食料の配給と交換条件に、経済復興の事業に協力してもらうことも可能なはずだ。深刻な経済の構造問題を抱え、政治の機能不全を抱える日本のような国は、余程大きな危機的状況に陥るまで、再生できないだろう。

日本の累積債務はほとんど国内の金融機関によって買い支えられている。政府が明快な累積債務に対する返済方針を出し合意を得るまでに、株式市場等を停止しておけば経済の混乱は少なくて済むはずだ。
現代社会の持つ構造問題を明確に把握し、世界と平和的に共生できるビジョンとリーダーシップをもつ政治家を求めるのは無理なのであろうか?