ネパールNGOスタッフ学校設立に向けて

2010年7月15日木曜日

プチベジタリアン

ネパールの肉屋では結構ショッキングな光景を目にする事がある。家畜の首が棚に並んでいたり、これから屠殺されるであろうヤギが店の前に繋がれていたりする。ダンパスの村に行った際には歓迎の証に、元気に餌をついばんでいる鶏を捕まえて、我々のために腕を奮って御馳走をしてくれた事もあった。
しかし、実際のところ先進国での動物虐待はネパールの比ではない。ネパールではヤギや鶏が人間と同じ場所で生活をしているが、先進国では人の目に触れないところで虐待と虐殺が行われているだけだ。
僕は以前、犬を飼っていた事があるので、動物にも豊かな感情があることを知っている。そのため、アグリビジネスが企業利益追求のため、家畜を狭い畜舎に閉じ込めて、ストレスをためないよう畜舎内は薄暗くし、薬漬けにしている業者が多いと聞いていたとき、あまりのえげつなさに気分が悪くなったのを覚えている。そして、最近では高級和牛のほとんどが品種改良をしたクローン牛だと聞いたとき、人間のおぞましさに言葉を失った。お金のため、ここまで非道な事をする生き物を僕は他に知らない。悪魔という言葉はまさに人間のためにあるのではないかと疑ったものだ。
だからと言って僕は捕鯨反対や動物保護を訴える気はないし、ベジタリアンになる気もない。ただ、肉類をたくさん食べると、腸内細菌叢でウェルシュ菌等、体に悪い物質を生成バクテリアが増え体に良くないことを知り、健康を損なってまで肉料理を食べる必要も無いと思っているだけだ。
ただ、日本では新鮮な魚料理が食べられた。程度の差に過ぎないが、牛乳や卵、魚位なら僕の良心はそれほど痛まない。しょせん世の中は弱肉強食だと思っているし、人間が生きていく以上、清廉潔白ではいられないと思っている。そして成長期の子供達には肉料理も必要なものだと思っている。
そして意外に思われるかもしれないが、ベジタリアンというのは一般に短命である。また、運動能力についてもバランスの良い食生活を送っている人々に比べ劣る事が多い。タンパク質の量もさることながら、健康な生活を送る充分なミネラルが補給できないのだ。
日本で菜食主義を貫いている人は、是非この点だけは気をつけて欲しい。僕は足りないミネラルはシラジットというアユールヴェーダ系のサプリメントで補っている。シラジットが万能の霊薬だとか、精力剤だとか言う人がいるが、これは実際に服用している体験者として嘘だと思う。成分はヒマラヤの高度3000~5000mの断崖絶壁のところから採取される天然の腐植土と植物性有機物の混合物で豊富なミネラルを含む。こんなものに若返りだの精力剤だのという効果があるはずがない。しかし、ベジタリアンの多いネパールやインドの人達には大きな効果があったに違いない。
アユールヴェーダには非科学的で納得できない部分もあるが、西洋医学にはない健康維持のために必要な古代からの知恵が伝えられえいるように思う。西欧文化の合理主義は病気になった後の治療には極めて効果的だが、人間が健康的で幸せに生きるという点についてはあまり考慮がなされて来なかった。
会社の為・社会の為の仕事といっても、人間にはやってはいけない事や踏み外してはいけない一線があると思う。人間が人間らしく生きるために、悠久の時を自然と共生していくために、今一度人間の生き方というものについて考え直してみたい。